ITには、既に多数の先進的な企業で採用されており、その効果が実証されているIT効果が実証されていないITとがあります。
効果が実証されていないITの中には、最先端のIT技術を採用している場合があります。
先進のインターネット技術の活用が、企業の競争力そのものを左右するような場合には、効果が実証されていないITでも、あえて採用することで競争上の差別化を図るベンチャー企業や大企業はあります。

でも、中小企業がITを導入する場合には、実績のあるITを使う方が賢明です。
ソフトの開発業者が開発したばかりで使用実績の少ないソフトには、多くのバグ(不具合、欠陥)があります。開発業者が、開発した製品の発売前に全てのバグを洗い出して修正するには、膨大な費用がかかります。
発売までに全てのバグをなくすのは、不可能といってもいいのが実情なのです。
ということは、新製品を導入する企業は、バグを発見するお手伝いをする羽目になります。

上記は、投資効果に直接関わることになるので、中小企業の場合にはとても重要です。
では、不具合が少ない成熟したIT製品なのかどうかを、どうやって見分けるのでしょうか?

製品のバージョンを確かめてください。

  V1.0(バージョン1)は、発売したばかりです。

V1.1は、それまでに見つかったバグが直っています。
しかし、見つかった構造上の不具合、つまり根本的な不具合は直っていません。

V2は、使った企業からの様々な声を反映した大幅な見直しが、一回だけ行われています。

結局、IT選択の失敗を避けるには、バージョン番号が少ない製品を避ければいいのです。バージョン番号が多いということは、それだけ多くの企業に使われた実績があるので、より安心して使うことができるというわけです。

競合他社よりも先進のITを使うことで差別化を図るというIT活用戦略がある場合などは別として、多くの企業で用いられている成熟したIT製品を選ぶことが肝心です。ただし、そのITの導入の難易度を考慮しないと、成熟したIT製品を選んだとしても、導入に失敗してしまいます。

ITを上手に活用するには、IT導入の難易度についての理解が欠かないのです。