SaaSという言葉が、(またもや)流行っているようだ。
Software as a Service の略だ。
ちなにSOAは、Service Oriented ArchITecture の略だ。
日本語では “サービス指向アーキテクチャー” と訳す。
SOAという用語は、最近は聞かれなくなったが...
“どうして流行の SaaSを取り上げたんですか?”
はい。 流行っているからです。
※ この記事は、最初、2009年に掲載した。
※ その記事の改訂版だ。当時のタイトルは「ERPとSOA」だった。
例のクラウドとかいう... この前(2009年当時)、NHKで特集していた。
入道雲(にゅうどうぐも) セールスフォース・ドットコム...
論点が分からなくなってきた...
SaaSとSOAに共通しているのは、Service (サービス)だ。
ところで、数年前には、“ASP” という言葉が流行っていた。
日本語訳は、 “アプリケーション・サービス・プロバイダー” だ。
業務ソフトをインターネット経由で顧客にレンタルする業者のことだ。
ユーザーは、ASPが準備したサーバーの業務ソフトをWebブラウザ (インターネット) 経由で利用する、という仕組みだ。
最近は、とんと聞かれなくなったが...
ASP(という用語)が、すたれた原因は、
・ 顧客は、業務ソフトを自社向けにカスタマイズできなかった
・ASPのサービスは、他のアプリケーションとの連携ができなかった
・ユーザーのインターネットの回線スピードが、遅すぎた...
などなど、ブームが去ってから... 後付けで...
その欠点を直したのが、 “SaaS” のようだ。
お気づきのように、ASPも “サービス” を含んでいた。
セールスフォース・ドットコムは、SaaSプロバイダーとして有名になっている。
SaaSとは … ウィキペディアの記事から引用
必要な機能を必要な分だけサービスとして利用できるようにしたソフトウェア(主にアプリケーションソフトウェア)もしくはその提供形態のこと。
一般にはインターネット経由で必要な機能を利用する仕組みで、シングルシステム・マルチテナント方式になっているものを指す。
関心が薄いようなので、SaaSという用語の使われ方の不健全性 を指摘することにする。
実は、私もわかっているとは言えないのだ。
というのは、SaaS の定義がバラバラなのだ。
サービスは、いわゆる “サービス” または “部品” と思っていい。
少し、説明の範囲を絞る。
ERPパッケージのサービス化についてだ。
いくつかの専門用語を使って説明することになる。
読者は、ERPを提供している企業が、最近なにを宣伝しているのか、その概要を知る程度の気持ちで読んでいただければと思う。
ERPベンダーの不健全性を指摘することにはなるが...
別の記事には、次のように書いてある。
受注、発注、請求といった業務の単位で、システムに必要な機能を “サービス” として提供する。
利用者からみれば、会計、販売、購買などの機能のかたまりである “モジュール” は、ない。
受注は販売の、発注は購買の、請求は会計の仕事だ。
利用者は、ERPユーザーを想定しているようだ。
ERPユーザーの立場では、モジュールなんて言葉は知らないし、受注業務、発注業務、請求業務であることには、変わりないはずだ。
同じ記事に 『個々のサービスは、Webサービスを介して連携できる』 と書いてある... 深追いするのは、やめにする。
でないと、サーブレットや JSP や EL など、Web アプリケーションの仕組みを説明することになってしまう。
まずは、古典的なSaaSの仕組みを説明する。
SaaSは、次の4つの要素から構成されている。
- プロバイダ … サービスを登録する
- ブローカー … サービスを仲介する
- レジストリ … サービスを保管する
- リクエスタ … サービスを利用する
- プロバイダは、サービスをレジストリに登録する。
- リクエスタは、ブローカーでサービスを検索する。
- ブローカーは、サービスの場所をリクエスタに提供する。
- リクエスタは、プロバイダにサービスを要求する。
- 結局、プロバイダは、リクエスタにサービスを提供する。
日本語が、少しおかしいところがあると思う...
わかりにくいと思うが、少しだけ我慢してください。
プロバイダが登録したレジストリに保管されているサービスを、リクエスタがブローカーを介して利用する。
これなら、なんとなく、わかったような気がするでしょう。
- 私は、“ERPとSaaS” の記事を、サイトに登録する。
- 読者は、検索エンジンで “ERPとSaaS” を含むサイトを検索する。
- 検索エンジンは、“ERPとSaaS” の登録サイトを読者に提供する。
- 読者は、登録サイトに “ERPとSaaS” の情報を要求する。
- 結局、私は、読者に “ERPとSaaS” の情報を提供する。
ひょっとして気がついていない読者に、対応関係を説明する。
- プロバイダ … サービスの提供者 … 私
- ブローカー … サービスの仲介者 … XXXXXX
- レジスタ … サービスの登録場所 … “ERPとSaaS” の登録サイト
- リクエスタ … サービスの利用者 … 読者
ところで、ブローカーの右側の “XXXXXX ” は、なんでしょう?
一緒に考えてみましょう... 下は見ずに...
そうです。“検索エンジン” です。
同じ答えでしたか?
私が登録したサイトに保管されているサービスを 読者が、検索エンジンを介して利用する。
プロバイダ が登録した ジストリ に保管されているサービスを、リクエスタ が、ブローカー を介して利用する。
SaaSの究極の仕組みを、こんなに簡単に説明してしまうとは...
実用新案に登録したいぐらいだ。
自然法則を利用していないので、特許にも実用新案にもなりそうにないが...
“SaaSとは” で、インターネット検索で見つけた説明とは、だいぶ違っている...
業務プロセスを記述するだけで、別々のシステムに散在する機能を組み合わせて、複雑なアプリケーションを開発する手法。
対象となるシステムは、ERPパッケージや自社開発システムなど、種類を問わない。
受注処理、在庫確認、請求書発行といった業務処理機能を、サービスとして扱える仕組みを提供する。
これほどまでに、SaaSの定義は、説明者の立場や説明する時期などで違っているのだ。
- Webサービス ∈ SOA ※ ∈ ;含まれる
- UDDI = レジストリ + ブローカー
- BPEL ...
ERP向けの記事から全く外れている...
業務プロセスを記述するだけで、別々のシステムに散在する機能を組み合わせて複雑なアプリケーションを開発できる...
そのためには、BPEL(業務プロセス実行言語)を使う必要があるはずだが...
そういえば、私が、全社的な業務フローの作成が必要な時に使っている業務フロー作成ソフトは、作成した業務フローから Java のアプリケーションを生成する。
同じような仕組み?
SaaSのERPへの適用が普及するかどうか、(またもや)歴史の判断を待ちたいと思う。
そろそろ、記事を改訂した目的を明かす。
読者が、SaaS方式を名乗っているERP製品に騙されないようにするためだ。