まずは、私が業務知識を身に付けた経緯をご紹介する。粘り強い努力 を読んでください。

ERP管理者に必要な業務知識を独学で習得したことが、理解できたと思う。

ERPを導入するリーダー( ⇒ ERP稼働後のERP管理者)には、情報システム部門のベテランが最適であると確信しているので、その前提で説明する。また、ERPの適用範囲が最も広い製造業を前提にしている。

ERP管理者に必要不可欠な業務知識とERPに関わるスキルの習得法

  • システム部門の方にとって、会計は畑違いの分野だ。少し一般的な話になるが、IT、会計、営業、英語の4つの分野は、スキルとしての相関関係がない。IT(情報技術)を結集したERPと会計の両方のスキルを身につけるのは、大変だ。でも、身に付ければ、それだけ個人としての市場価値も上がるとは思いませんか?

    会計の学習方法は簡単だ。学習教材が簡単に手に入るからだ。日商簿記検定の資格試験向けの教材で学習すればいいからだ。本屋さんでわかりやすそうな簿記の本を選んで、コツコツと学習するだけだ。まずは、3級、そして工業簿記が加わる2級、できれば1級の管理会計まで理解したいところだ。IFRS対応が必要でしたら1級の連結財務諸表の理解も欠かせない。
      
    ここで、反発された方がいるかもしれない。“簿記の学習は簡単ではない” と。そうだろうと思う。ERPを導入しても活用できていない企業のERP管理者の方は、例外なく簿記の知識がないからだ。簿記の学習は、地道な努力の積み重ねだ。英語の学習と同じで、地道に学習を続けさえすれば必ず習得できるスキルだ。簿記の試験に合格する必要はない。問題を早く解ける必要がないからだ。但し、本試験用の問題を、時間がかかっても自力で解けるようにならないと実践では使えない。知識とスキルとの違いだ。ERP管理者に必須の会計の業務知識の学習を、強くお勧めする。
  • 販売管理購買管理在庫管理などの業務知識の学習は、簿記の学習に比べれば楽だと思う。ERP管理者に必須の販売/購買/在庫管理&貿易の業務知識の学習をお勧めする。 輸出入業務を行っている企業のERP管理者には、特に役立つはずだ。
  • 生産管理については、市販の書籍や外部講習会などでの理解は困難だと思う。
    ERPの導入・活用に必要な生産管理の業務知識の学習を、自信を持ってお勧めする。ERPコンサルタント向けのERP研修で好評を博したからだ。
  • IT全般の業務知識については、書籍や外部講習会だけでの学習では困難だと思う。現場での数々の実体験が欠かせないからだ。TCP/IPやSQLなどのIT技術は、知っているだけでは実践で活用できない。
  • プロジェクト管理能力は、PMBOK向けの書籍の学習でQCDなど基本的な知識は得られる。しかし、現実のプロジェクト管理では、メンバーのやる気を引き出すスキルの方が、断然重要だ。大きなタスクを進捗管理ができるレベルまで分解できるトップダウン思考も欠かせない。リーダーシップは、個人の資質に依存するのかもしれない。いずれにしても、リーダーシップを発揮するには、誰にも負けない熱意や一人で責任をとる勇気が必須だ
  • 経営陣や現場のキーパーソンの方々とのコミュニケーション能力は、相互の信頼関係が前提になる。信頼を得るには、相手の役に立つことを地道に行う努力が必要だ。ちなみに、トップクラスの営業マンであれば、見込客との信頼関係を、極めて短時間で構築する術を身につけている。商品やサービスを売り込まずに、まずは、相互の信頼関係が構築できるかどうかに集中するようだ。その結果、短時間で信頼関係が築けるようになる。
  • 業務改革を推進できるスキルは、導入したERPを活用するために不可欠だ。業務知識があることが前提になる。ERPが関わっている業務プロセスを見える化するスキルや特定の現場の問題を解決させるために、自らプロジェクトを起こして推進するリーダーシップも必要だ。
    業務分析の手順は、ERPと業務改革との関係の後半で説明している “全社的な業務フロー作成の秘訣” を読んでください。大きな問題の解決を図るには、複数の代替案からどの代替案が最適なのかを合理的な意思決定で決めるスキルも必要になる。ケプナー・トリゴー法 (KT法) の学習をお勧めする。
  • コスト意識を身につけるには、営業マンが稼いでいる意識、損益計算書の構造、DCF法や正味現在価値法など投資の採算計算の理解を通じて、コスト意識が育まれる。予算超過を防ぐことだけを考えていると、本末転倒(手段が目的化)してしまう。
  • 自社開発システムをERPに入れ替える場合、ERPの導入方法論 への理解が欠かせない。ERPの導入作業でのパラメータを設定する作業が、自社開発での設計に相当する。このサイトの ERPの導入プロセス(1)ERPの導入プロセス(2)、ERPベンダーの講習会の受講などを通じて、ERPが本番稼動するまでに理解できるように頑張ってください。

    ちなみに、パラメータの設定作業をERPコンサルタントに任せてしまうと、ERP導入方法論の “肝” を理解する絶好の機会を逃してしまうことになる。尚、弊社が独自に開発・実証したERPの導入方法論、弊社にしか提供できないノウハウだ。

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