私(iTMC 鎌田)がERPの導入支援を引き受けるまでには、①ユーザー企業のリーダーが弊社のサイト経由で読者登録する、②リーダーとメールでのやり取りを通して信頼関係を醸成する、③スポット訪問で最終確認する、という流れになります。

さて、③の段階で “想定外の状況” が起きることがあります。リーダーの上司(役員、プロジェクト・オーナー)が、スポット訪問の社内決裁を承認しないのです。

上司が承認しない理由は、いつも同じです。社外の専門家の指導を受けずに自分たちで苦労しながら進めてほしい、と考えるのです。ERP導入プロジェクトを、リーダの成長、“社員教育の場” として活用しようというわけです。この役員の考え方は、間違っていると断言できます。

基幹システムのERPによる再構築というプロジェクトは、人間に例えれば、外科手術で心臓を取り換えるくらい難易度が高い仕事であり、リーダーは、患者の命を預かる外科手術の執刀医なのです。

日本では、高い割合でERPの導入プロジェクトが失敗しています。その原因の一つが、この役員の考え方にあります。欧米では、ERPの専門家から支援を受けることが “当たり前” なのです。

結局、ERPの専門家から支援を受けないでERPの導入を実体験したことがないリーダーが推進するプロジェクトは、失敗してしまいます。心臓移植手術を行ったことがない医師が手術を行った場合と同じ結果になるわけです。

弊社のサイトでは、「ERP導入の失敗を避ける5つの条件」 を掲載しています。その条件の5番目は、「プロジェクト・オーナーからリーダーへの強力な支援」 です。リーダーを支援するのではなく邪魔をしてしまう役員の考え方が、プロジェクトを失敗させてしまうことになります。

経営者 (プロジェクト・オーナー) の方へ

ERPの導入を推進するリーダーが下した決断は、よほどの理由がない限り受け入れてください。 

もし、ご自身の “ERP導入プロジェクトを社員教育の場として活用する” 考え方でプロジェクトが進み、高額な投資コストや現場のキーパーソンの膨大な工数が無駄になった場合、役員を辞任することを、事前に宣言してください。それが、プロジェクト・オーナーの責任の取り方なのではないでしょうか。

外資系企業の場合、ERPの導入に失敗したリーダーは、ほぼ例外なく退職しています。覚悟を決めて取り組んだプロジェクトの失敗を招いた責任を取っているのです。

御社のリーダーは、それだけの 覚悟 を持って取り組んでいるのではありませんか。