ITを導入しようと決めた場合、そのITを導入するには、複数のIT製品から選ぶことになります。

パソコンの調達、電子メールの活用、インターネットの導入、在庫管理ソフトの購入、顧客データベースの構築など、どれを取ってみても複数の製品の中から選ぶことになります。(ここでは、それらのIT導入を依頼する場合の、IT業者の選択については触れません。)

パソコンの購入を例に取ってみましょう。

一台あたりの予算はどれくらい? 7万円? 9万円?
 ・メーカーはどこ? Panasonic? 富士通? NEC? デル? HP?
 ・機種は? デスクトップ型? 持ち運びができる携帯型?
 ・どこから買うの? 近くのパソコンショップ? インターネットを使って?

では、複数のIT製品の中から、自社にとって適切なITを選択するには、どうすればいいのでしょうか?

ITの選択を、いくつかの選択肢の中から最適な選択をするという意思決定の問題としてとらえると、合理的な方法として、ケプナー・トリゴー法 による意思決定があります。

ケプナー・トリゴー法を使って、最適なIT製品を選択する手順をご紹介します。

 1 導入目的や達成したい目標に必要な評価項目を洗い出す
 2 洗い出した評価項目に重み付けをする
 3 候補となる製品を、少なくとも3つ以上探す
 4 各々の候補毎に、評価項目について評価する
 5 評価項目と重み付けから、合計点数を集計して、点数が高いものを選ぶ

ケプナー・トリゴー法の利点に、『なぜ、そのIT製品を選ぶことになったのか、
きちんと説明できる
』 ことがあります。意思決定を行った過程を説明できるので、関係者への説得が簡単になるというわけです。

この手法をチームで用いれば、チーム全員が納得できる案を合理的に選択できます。

さて、この方法を使えば、誰でも 最適なIT製品の選択 ができるのでしょうか? 残念ながら答えは、“No” です。

実は、選択の候補となるIT製品に関する知識がないと、必要な評価項目の洗い出しができないのです。

販売管理システムを、パッケージソフトを使って構築する場合の評価項目を洗い出してみましょう。

例えば、販売管理ソフトの製品名、価格、日経コンピュータでの顧客満足度評価のランキング、製品の成熟度、などがあげられます。

達成したい目的によって洗い出す評価項目は違ってくる わけです。

例えば、製品の成熟度は、他社での採用実績、バージョンアップした回数など、一つの評価項目が複数の評価項目から構成される 場合があります。

評価項目が、階層的になるのです・・・

IT製品の選択って、きちんとやろうとすると、結構大変ですね!

でも、達成したい目的に対する手段としてのITの選択をしっかりやることで、IT導入の失敗の原因を一つ減らすことができる のです。

“でも、評価項目の洗い出しができないので、結局この方法は使えないのでは?”

そうでもありません。

IT製品を選択する際に、評価項目の洗い出をする裏技をご紹介します。

それは、そのIT製品を販売しているIT業者に「評価項目を聞く」のです。
IT業者から、評価項目を無料で教えてもらうというわけです。

ケプナートリゴー法は、IT製品を選択する場合だけでなく、ビジネス上の合理的な意思決定をする際の道具として広く使われています。

経営判断や投資の判断をする場合など、2つ以上の選択肢から最適な案を選択する必要がある場合に、合理的な選択を行える便利な手法です。

IT製品を選択する時は、

  1 意思決定に関係する評価項目を洗い出す
  2 洗い出した評価項目に基づいて候補となるIT製品を評価する
  3 最適なIT製品を選択する
 
※ ケプナー・トリゴー法で意思決定すれば、その意思決定をするに至った経緯が記録として残ります。(責任追求の手段として使うのは... ) 


自社向けに適切なITは選択できた。ご苦労様でした。ケプナー・トリゴー法を習得しました。

でも、社内に選んだITを導入できる人材がいない場合(それが普通でしょう)、外部のIT業者に頼むことになります。
 
とすると、適切なIT業者の選択を行う必要があります。