当たり前のことですが、どのようなITであっても、導入後に使われなかったら投資をした意味がありません。

なぜ、こんなことを、わざわざ言う必要があるのでしょうか?

実は、苦労して導入しても使われずに投資が無駄になってしまう事例が非常に多い からです。

なぜ、そんなことが起きるのでしょうか?

それこそ多種多様な原因がありますが、ここでは、「導入するITを使う社員は、それまでの仕事のやり方を変えなくてはならない」ということについて、説明することにしましょう。

社員に、いままでのやりなれた仕事のやり方をかえてもらうことは、大変なことなのです。

例えば、パソコンを導入すれば、営業社員は、営業日報を書いていた替わりに、パソコンにデータを入力することになります。

キーボード入力が苦手な営業社員にとっては、いままで30分でできていた営業日報が、パソコンだと1時間以上かかってしまうことになります。

キーボード入力の指導をきちんと行わないと、営業社員は、配られたパソコンは使わずに、元のやり方に戻ってしまうことになります。

結局、せっかく導入したパソコンが、ほこりをかぶってしまうことになります。

ERP(統合業務ソフト)を導入すると、事務処理を担当している社員の仕事のやり方が、ERPの導入前と導入後では劇的に変わります。

ということは、事務処理を担当している社員は、やり慣れていた仕事のやり方から、新しい仕事のやり方に替えるために、大変な努力が必要になります。

ERPを使う社員への使い方の指導が不十分だとなにが起きるのでしょう?

ERPの導入により仕事のやりかたが変わった社員から、今までの仕事のやり方に比べて少しでも不便なことがあると、全部不満になってしまうのです。

新しい仕事のやり方の方が、会社全体としての仕事の生産性が向上することを説明しても、頭では理解してもらえても、納得してもらえません。

なぜなら、社員にとっては、自分の仕事がやりにくくなったことのほうが問題だからです。

すると、どういうことになるか?

多数のユーザーから不満が出て事態を収拾できなくなった場合、ERP導入前に戻すことになります

大変な労力とお金をかけて導入したERPが、その効果を発揮できないのです。

ではどうすれば、「導入したITを使ってもらえない」という事態を少しでも避けることができるのでしょうか?

ITの導入によって今までの仕事のやりかたを変えなければならない社員に、十分な指導を行う必要があります。

導入前の説明を十分に行うことはもちろん、導入中の使い方の指導、導入後の質問への対応を徹底して行うこ とが、導入したITが使われない失敗を避けるためには欠かせません。

導入したITを、社員が使うことを社長命令で指示すればいい、ですって?

確かに、社員が使わざるをえないように業務ルールを変えてしまうことも、一つの手です。

営業日報は、データでしか受け付けない、とか。

でも、それは、あくまでも仕事のやり方が変わる社員への支援を十分に行って、それでも、どうしても使おうとしない社員に限定するべきです。

ITを導入することで仕事のやりかたがどう変わるのかを、きちんと説明して、繰り返し指導しましょう

それが、導入したITが使われない、という失敗を避ける勘所です。

  最後に、ITの導入には順序がある を学習しましよう。