どんなITでも、そのITを導入して、きちんと使いこなせるようになるには、前提として到達しておくべき 自社のIT活用能力 のレベルがあります。
どういうこと?
例えば、社員のパソコン活用能力が低いのに、業務情報を社員間で共有化するためのグループウェアを導入しても、情報の共有化は行われないということです。
業務フローをビジュアル化できなければ、業務改善は進まないということです。
あるITを導入しようとする場合は、自社のIT活用能力のレベルが、そのITを導入して使いこなせるだけの前提条件を満たしているかどうかを、前もって確認する必要があります。
では、どうやって自社のIT活用能力のレベルを確認するのでしょうか?
ITの全体体系を理解しているIT活用のプロであれば、簡単なヒヤリングだけで見当がつきます。
ここでは、少し荒っぽいですが、IT活用能力のレベルを、4段階に分けて説明してみます。
レベル1 - パソコンの個人レベルでの活用
・ パソコン、プリンタ、情報ネットワーク(社内LAN)の個人レベルでの活用
・ 一部の社員がワード、エクセル、電子メールの活用
・ 経理担当者が、勘定奉行やPCA会計などのパッケージソフトを活用
・ 顧客情報、在庫情報のエクセルでの管理
・ 一部の社員が、電話回線やADSLを用いたインターネットの活用
レベル2 - チームでの協同作業に役立つIT機器の導入/活用
・ 社内LANを用いたプリンタやファイルサーバーの共有活用
・ ほとんどの社員が、社内電子メールを日常業務で活用
・ 販売管理、在庫管理などの基幹業務処理へのパッケージソフトの活用
・ 兼任のIT担当者が、簡単なパソコン指導やトラブル対応をできる体制
レベル3 - 全社的なレベルでの情報の共有活用
・ イントラネットの構築による社内情報の共有化/一元管理化
・ 業務ルールや業務処理手順の標準化、業務マニュアルの整備
・ 自社のホームページを使った企業情報の発信、顧客からの受注
・ IT担当社員による、業務へのIT活用の推進、パソコン研修の実施
レベル4 - 社内業務処理の連携、取引先との連携、意思決定の支援
・ ERPを用いた基幹業務データの一元管理、リアルタイム経営の推進
・ EDIを用いた取引先との受発注業務処理などの効率化
・ ワークフローによる決裁申請などの業務処理のペーパーレス化、迅速化
・ 最新の業務データを活用して迅速かつ的確な意思決定を行うBIの導入
レベル5 ‐ 経営外部環境の変化に迅速に対応できる仕組みの構築
・部門横断での業務改革を継続的に推進できている
・ERP管理者は、稼働しているERPのすべてのパラメータを把握している
・経営トップは、前日までのデータを使って的確・迅速に意思決定できている
いかがですか? ところで、レベル0 は、どういう段階なのでしょうか?
(私見ですが) 一人一台パソコンを実現していない段階です。
パソコンは消耗品であるにもかかわらず、です。
さて、自社のIT活用能力のレベルを考慮したうえで、適切なITを導入しようとしても、それでIT導入がうまくいくかというと、そうともいえないのです。
それには、ITの成熟度への理解が必要になります。